
今回の授業は3年生国語の「三年峠」でした。三年峠は、発達障害が専門のたぬきねこから見て、大変興味深い題材です。おじいさんが三年峠に差し掛かるのですが、この峠で転んでしまうと「三年きりしか生きられぬ」という言い伝えがあるのです。この表現もちょっと難しくて、限定と否定が込められていますね。そして、これはおじいさんの心のなかの信念になっているのです。そう、自閉症スペクトラムの子どもはこのような他者の信念を理解することが難しいのです。結局、おじいさんは三年峠で転んでしまい動転してしまいます。実は、この時のおじいさんの気持ちは非明示的で、「どうしよう、どうしよう」など行動については描かれていますが、不安だったという感情は記述されていないのですね。このように感情が非明示な文章の読み取りは、とりわけ自閉症スペクトラムの子どもが苦手とするところです。言い換えると、三年峠はおじいさんの気持ちの変化を読み取ることをとおして、他者の心を読み解っていく格好の題材でもあるのです。

しかし、先生におうかがいすると、「三年峠」ではリズム感を大切にさらっとやるそうです。子どもの教科書にも、そのようなねらいが書いてあって、おじいさんの気持ちを理解することは入っていませんでした。他にやるべき単元が数多くあること、憶えなければならない漢字もたくさんあるので、とのことでした。これは、実にもったいないことです。3年生で難しいのであれば高学年にもっていってもいいと思います。またまた、たぬきねこは小学校で教えるべき大切なことをもっと考え直していかなければ、という思いを強く感じました。

本題の授業見学ですが、先生はお子さんの特性を考えて教科書の挿絵を拡大して黒板に貼って、子どもたちにストーリーの順番に並び替えさせていました。このお子さんは、視覚的に文脈を理解するのは得意なので、このような提示の仕方はとてもいいですね。授業に興味を持てない時は、床に寝そべってしまう時もあるそうですが、この時間はしっかり机に向かっていました。板書も、色分けして工夫されています。授業のねらいが黒板に書かれているのもいいですね。

それから、先生は対象のお子さんの行動にもダイナミックに対応して、本人のやる気をうまく他の子どもに受け入れさせていたと思います。例えば、次々に子どもたちが読んでいった時、対象のお子さんが読み始めるとそれに合わせてうまくリズムをつけてあげてました。ちょっと突然であっても、自発的に授業に取り組んだ姿勢を受け入れていくことが大切でしょう。

プロジェクトM的には、今日の授業でのねらいの一つが「(文章の)すきなところ」だったので、どういう観点で「好き」と思ったのか尋ねていくと、子ども間の捉え方の違いも明確になって、さらに深まっていくように感じました、です。ここでは、やはりどんな文章を好き・面白いと思うのか仮説を立てておくことが大切ですね。