2007年11月26日月曜日

自主シンポジウム

 11月24日に横浜で開催された日本LD学会第16回大会にて、自主シンポジウム「通常学級での授業・学級づくりー発達障害児のやる気と自信に着目してー」を企画しました。おかげさまで定員110名の会場に全然入りきらないほどの参加者がありました。このシンポジウムでは野田市教育委員会の松浦正典氏にも話題提供者としてご参加いただき、絶妙なトークで行動上の課題解決における配慮、とくに自尊感情を高めていく褒め方の大切さについてお話しいただきました。来年も、プロジェクトMでシンポジウムの企画をしていきたいと思います。
 会場の横浜市開港記念会館です。

 会場の入り口前です。こんなにたくさんの参加者があったんですよ。

 夜の元町です。

2007年9月5日水曜日

ジョイントセミナー

 チーム兵庫とチーム長崎合同でセミナーをおこないました。話題提供として、兵庫からは授業・学級つくりの実践研究、長崎からは学校全体でのユニバーサルデザインについての発表がありました。

2007年7月15日日曜日

小島先生来る!(第7回)

 台風のなか実施が懸念されていましたが、第7回勉強会が開催されました。今回は、チーム長崎の元締めの小島先生がはるばるやって来られました。せっかくでしたので、発達障害児に関する自己肯定感をめぐる研究の話題についてレクチャーを頂きました。ひとつは、どのように自己肯定感などをアセスメントしていくか、という課題があります。このあたりにも積極的に取り組み始めているというお話を伺いました。
 今回は、勉強会の様子を初公開です。



 後半はメンバーから、発達障害時が在籍する通常クラスについて、学級経営という視点での配慮・対応について話題提供をしてもらいました。認知特性をふまえた授業作りをおこなっていくことによって、それまでは席を離れて寝転んでしまっていた対象児が一斉授業に参加できるようになっていました。離席すること自体が問題視されがちですが、このような行動が実は、一斉授業の内容や教授方法が対象児のニーズに合っていないサインと捉えるべきことを示しています。やはり対象児にあわせた課題設定が重要ですね。これによって、達成感も得られやすくなり、自信とやる気へつながります。ここで調整しなければならないのが、クラスの標準的なニーズと発達障害児がもっている個別のニーズとの関係です。

 学級経営という視点では、古典的ですが三隅のPM理論はとても大切です。この理論はもともとは会社などの組織でのリーダーシップ理論なのですが、教師を学級のリーダーと捉えることで通常学級のダイナミックスを考察することができます。Pはまさに組織を引っ張っていくリーダーシップの力を表現しています。つまり、その組織が目指すべき方向を規定して、それを明確に構成員へ提示することの大切さ、の側面です。このPだけでは実は組織はベストの状態にはなり得ません。これだけが強すぎると、構成員の意向がその組織に反映されず、不満がたまりがちになるのです。ここで、もう一つの側面M(maintenance)の大切さが浮かび上がります。Mは構成員へ受容的な態度で対応することで、リーダーと構成員の信頼関係を築く側面です。リダーがこれらPとMの両方を合わせもつことで、組織の力が最大限に発揮されるという理論です。

 担任の先生へ学級経営についてコンサルテーションする時、PとMの両方からおこなっていくことが大切ですね。

2007年7月4日水曜日

清和台小学校

 今日も学校訪問をしてきました。たぬきねこが担当するコースは、川西市と特別支援教育の推進に関する連携協約を結んでいます。このなかで現職教員の大学院生が協力校で実地修練をおこなうと同時に校内支援体制の構築を支援しています。実習と支援は表裏一体です。今回訪問した清和台小学校は、たぬきねこ研究室の院生がお世話になっています。その院生と担任先生二人ともプロジェクトMメンバーで、協力して授業作りの実践研究をおこなっています。

 今回の授業は3年生国語の「三年峠」でした。三年峠は、発達障害が専門のたぬきねこから見て、大変興味深い題材です。おじいさんが三年峠に差し掛かるのですが、この峠で転んでしまうと「三年きりしか生きられぬ」という言い伝えがあるのです。この表現もちょっと難しくて、限定と否定が込められていますね。そして、これはおじいさんの心のなかの信念になっているのです。そう、自閉症スペクトラムの子どもはこのような他者の信念を理解することが難しいのです。結局、おじいさんは三年峠で転んでしまい動転してしまいます。実は、この時のおじいさんの気持ちは非明示的で、「どうしよう、どうしよう」など行動については描かれていますが、不安だったという感情は記述されていないのですね。このように感情が非明示な文章の読み取りは、とりわけ自閉症スペクトラムの子どもが苦手とするところです。言い換えると、三年峠はおじいさんの気持ちの変化を読み取ることをとおして、他者の心を読み解っていく格好の題材でもあるのです。

 しかし、先生におうかがいすると、「三年峠」ではリズム感を大切にさらっとやるそうです。子どもの教科書にも、そのようなねらいが書いてあって、おじいさんの気持ちを理解することは入っていませんでした。他にやるべき単元が数多くあること、憶えなければならない漢字もたくさんあるので、とのことでした。これは、実にもったいないことです。3年生で難しいのであれば高学年にもっていってもいいと思います。またまた、たぬきねこは小学校で教えるべき大切なことをもっと考え直していかなければ、という思いを強く感じました。

 本題の授業見学ですが、先生はお子さんの特性を考えて教科書の挿絵を拡大して黒板に貼って、子どもたちにストーリーの順番に並び替えさせていました。このお子さんは、視覚的に文脈を理解するのは得意なので、このような提示の仕方はとてもいいですね。授業に興味を持てない時は、床に寝そべってしまう時もあるそうですが、この時間はしっかり机に向かっていました。板書も、色分けして工夫されています。授業のねらいが黒板に書かれているのもいいですね。

 それから、先生は対象のお子さんの行動にもダイナミックに対応して、本人のやる気をうまく他の子どもに受け入れさせていたと思います。例えば、次々に子どもたちが読んでいった時、対象のお子さんが読み始めるとそれに合わせてうまくリズムをつけてあげてました。ちょっと突然であっても、自発的に授業に取り組んだ姿勢を受け入れていくことが大切でしょう。

 プロジェクトM的には、今日の授業でのねらいの一つが「(文章の)すきなところ」だったので、どういう観点で「好き」と思ったのか尋ねていくと、子ども間の捉え方の違いも明確になって、さらに深まっていくように感じました、です。ここでは、やはりどんな文章を好き・面白いと思うのか仮説を立てておくことが大切ですね。
 

こんな本を書きました

「ちゃんと人とつきあいたい−発達障害や人間関係に悩む人のためのソーシャルスキル・トレーニング−(山海堂)」という本を書きました。この本では,ソーシャルスキル・トレーニングについての解説の後,5つの年齢段階(ライフステージ),「幼児期」「小学校低学年」「小学校高学年」「中学校期」「高校・青年・成人期」ごとのソーシャルスキルの特徴と課題について記してあります。次に,その5つの年齢段階(ライフステージ)毎に,実際の指導例を合計50ケース載せています。この部分のボリュームが多く,参考になるケースがあるかな,と思っています。ちなみに,お値段は1,600円となっています。

2007年6月24日日曜日

英語学習とごほうび

 小学校で英語の学習が取り入れられつつあります。これまでの英語教育は、しゃべれる力を養っていない、とも言われます。小学校でどのように英語の授業を作っていくのか、これからの課題ですね。
 幼児期に、子どもは言葉を獲得していきます。言葉を憶えていくっていうことは、親にとってとても嬉しいことです。不完全な発音でも、「うーん、よくしゃべったねえ。そうだねえ。」なんて、子どもに向かって話しかけていると思います。決して、それは正しい発音じゃないわね、なんては言わなないでしょう。このように、子どもが発語を学習している時には、ごほうびが周囲から与えられているのです。これは、社会的な強化と言えます。つまり、子どもは絶えず発語の学習を楽しんでしているということですね。
 今回のわくわく授業「看護学校の英語」でも、生徒たちはとても楽しみながら学んでいました。先生は、自分たちでロールプレイのシナリオを作って発表するよう機会を作っていました。シナリオを考えることに楽しさを感じるでしょうし、みんなの前でうまく発表できれば達成感もありますよね。これらは、内的なごほうびにつながっています。

2007年6月18日月曜日

小野小学校

 本日は、県の委嘱事業で兵庫県の小野市立小野小学校を訪問して、授業を見学しました。小野市は、そろばんの生産地として有名で、教育にも熱心に取り組んでいる地域です。小野小学校は城跡に立っていて、校舎も瓦屋根になってる凝りようです。すでに20年が経つそうですが、年月を感じさせない立派な建物です。

 これは、ハバタン。懐かしいですねえ。

 さて、授業は3年生の国語と社会を見学しました。子どもたちを授業へ魅きつけて、注意を集中してもらうことが学力をつける基本だと感じているのですが、これが難しくなってるんですね。これは、訪問したほとんどすべての学校に共通しています。国語では、まず漢字の書き取りをそれぞれの子どもが取り組んでいました。こういった作業でも、ごほうびはやっぱり効果的です。先日、テレビで任天堂DSで漢字の練習をさせたら、成績がのびたという報道をしてました。もうすでに、IT機器は文字入力の認識はお手の物です。この学習効果は、おそらく正解したときのオーディオビジュアルな即時的フィードバックが、子どもにとって楽しいからだろうと思います。自分でドリルに書き入れてもフィードバックがないのですよね。あと10年くらいで、読み書きの練習はコンピュータにとって代わられてしまうかもしれません。
 社会では、やはり授業の構成が大切だと思いました。どういう作業をするのか(すべきか)、その手順をわかりやすく視覚的に示すことはとても重要です。授業にメリハリをつけるためには、作業時間がどれくらいあるのか予告して、終了も音などで知らせるとよいでしょう。作業のあとに、それを発表させると何らかのフィードバックを子どもたちに返せますね。先生も、実物投影機を使ってモニターに映し出して、他の子どもに見せてました。でも、ちょっとモニターが小さかったでしょうか。大きく前面に映し出すと迫力があっていいかなと思いました。家庭のテレビよりずっと大きい画面で、ぜひ。